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第13回コテキリの会|報告
参加者の声
参加者の皆様からお寄せいただいた
質問・感想等をご紹介いたします。
同志社大学古典教材開発研究センター
第13回コテキリの会
「こてんであそぼ――オモシロイにもほどがある!」
■日時 2026年9月6日(日)13:30~16:30
■場所 Zoomによるオンライン
コテキリの会代表による総括
9月6日(日)、第13回コテキリの会「こてんであそぼ オモシロイにもほどがある」を無事開催することが出来ました。当日は多数の皆様にお申込、ご参加を賜りました。改めまして、クロストーク、実践報告の登壇者の皆様、参加者の皆様に、スタッフ一同感謝申し上げます。
コテキリの会も今回で13回目を迎えます。毎年2回研究会をZoomミーティングで開催してきました。コテキリの会はご存じの通り、和本やくずし字を用いた古典教育・教材の開発と研究を中心に活動してきました。児童や生徒・学生に古典をいかに身近に感じてもらえるか、古典の魅力をいかに伝えていくことができるのか、試行錯誤を重ねてきました。われわれは教育の現場にこそ答えはあるという考え方で進めて参りました。コテキリの会で積み重ねられてきた意見交換がわれわれ共通の知的財産として蓄積されていくものと信じています。
第一部クロストーク「松尾芭蕉は”嫌われ者”!?─古典教育における「おくのほそ道」を考える─」は、「作家さんと日本の古典を読んでみた!第二期」の出版記念(ポプラ社2026.3)として開催しました。本書は同志社大学古典教材開発研究センターが編集を担当しています。
今回は、第二期のうちの一冊「おくのほそ道」を取り上げました。定番教材でもあり、授業でも扱われる機会が多い古典教材の一つです。ポプラ社刊の「おくのほそ道」の現代語訳をご担当頂いた芥川賞・大江賞受賞作家長嶋有氏と、同じく監修を務めていただいた京都府立大学名誉教授母利司朗氏とのクロストークを企画しました。当日は、お二人の当意即妙で軽快なやり取りが愉快痛快なテンポで進みました。次々と繰り出される長嶋有氏の、芭蕉の旅と俳諧をめぐるユニークな切り口とクリエイターならではのことばのパワー!そこから繰り出されてくる問いに鮮やかに爽やかに受けて打ち返していく俳諧研究者母利司朗氏のことばがキャッチボールのようで、おもしろい語りのクロストークを堪能しました。
当日の様子はアーカイブをご参照ください。 https://kotekiri20.wixsite.com/cdemcjl/archive
第二部は「古典おもしろ大作戦─中高・高専の教室から─」と題して、校種を越えた教育現場での生徒の興味関心を引き出す取り組みを紹介しました。
鶴口夏菜氏(名古屋大学教育学部附属中・高等学校)は、「くずし字を書く実践 中2・STEAM」と題して報告されました。和本やくずし字を用いた教育の可能性を探るコテキリの会として、書道の授業を取り上げたのははじめてであり、大変新鮮でした。書いてみるという実践ならではのおもしろさの発見が一番の魅力。変遷過程への興味関心というのは実践してはじめて気づくことではないか、連綿体についても生徒はなるほどと納得したのではないか、変体仮名に多くの種類があることの理由や意味が実践を通して理解できるのは大きな授業の特徴と言えるでしょう。自分で字母を選んでいくことでそれに気づくのでしょう。ある意味羨ましい授業でした。
酒井恵理氏(川崎市立川崎総合科学高校)「和本鑑賞─昔の本に触れてみよう」も、和本とくずし字を用いた教育の可能性を探る試みとして、和本の教材としてのおもしろさとは何なのか、実際に和本を手に取って気づかせる実践でした。理系の高校の授業の中でいかに古典に興味関心を持たせることができるかの試みでもありました。そのアプローチのひとつとして和本が果たす役割を問い直し、和本があれば想定を越えて生徒たちに古典を身近に感じさせることができる可能性があることを伝えました。同志社大学古典教材開発研究センターの「和本バンク」を活用すれば、書誌学の専門的な深い知識までなくても取り組めることを示す実践でした。
熊澤美弓氏(鈴鹿工業高等専門学校)は「古典と科学技術の融合に挑戦─ CoTech古典×ものづくりコンテスト」と題して、高専という学習環境の中でものづくりの視点を活かした古典教育を試みようとする取り組みの報告でした。個別の実践についてはさらに知りたいと思うような多様性と個性のある生徒の実践的な取り組みの紹介でした。そうした取り組みを、学校を越えた「高専古典教育研究会」の活動や、「CoTech古典×ものづくりコンテスト」として大学とも共催するコンテストにまで拡げて実践されたことに敬服させられました。古典の魅力やおもしろさを実感させる試みは、生徒の興味関心を引き寄せていく大きな仕掛けたり得ているでしょう。コテキリの会がそのきっかけを作ることができたことを頼もしく嬉しく思います。
なお、和本やくずし字を用いた教育のテキストを同志社大学古典教材開発研究センター編『未来を切り拓く古典教材─和本・くずし字でこんな授業ができる』(文学通信2023.3)をオープンアクセスでさまざまな教育現場でご使用いただいています。同志社大学学術リポジトリーからダウンロードして教材としてご活用下さい。https://doshisha.repo.nii.ac.jp/records/29485
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「和本バンク」では、和本を授業で活用するために貸し出しを行っています。和本が手元にない場合でも、教室で生徒に直接触れる「和本体験」を通して、古典に触れるおもしろさを実感できるきっかけになればと考えています。古典教材開発研究センターのホームページ「和本バンク」から申し込むことが出来ます。https://kotekiri20.wixsite.com/cdemcjl
コテキリの会は古典教材の未来を切り拓く!研究会の略称です。今回ご参加いただいた皆様とともに、明るく楽しく前向きに古典教育や教材について意見交換できる場であり続けたいと思っています。次回は来年3月開催を予定しています。また、皆様と再会できることを楽しみにしています。
2026年9月17日 山田 和人
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当日寄せられたご質問
◉第1部|クロストークへの質問
WEBフォームからお寄せいただいた、長嶋有るさん、母利司朗さんへの質問の一部です。質問者が特定できる記述などについては加工しております。当日の講演はこちらからご視聴いただけます。
長嶋有さんへの質問
●曽良についてどのようにお考えになったのかをお聞きしたいです。
芭蕉の句と曽良の句の違いについてお感じになられたことや、旅や紀行文における曽良の存在について訳者として感じたこと、考えたことがあれば教えてください。
長嶋有さん・母利司朗さんへの質問
●「不易流行」について。先ほど「不易」に感動する側面はあるがその逆が描かれていないのではないか、という話がありましたが、それは『奥のほそ道』全体を通じてあまり描かれていない、ということなのでしょうか?
長嶋さんからみて、これは「不易」だけではなく「流行」に感動している!と思われる場面があったらお教えいただきたいです。
また母利先生には「流行」を評価している、と考えられてきた部分についてお教えいただきたいです。
◉第2部|実践報告者・登壇者への質問
WEBフォームからお寄せいただいた、登壇者への質問の一部です。質問者が特定できる記述や登壇者の個人情報に関する記述などは加工しております。
■鶴口夏菜さんへの質問
Q1●書として枕草子を書かせるのは面白いと思いました。誤字は写本での作品の成り立ち理解にも通ずるかと感じました。
Q2●枕草子の写本を選ぶ際に、どういった観点(書きやすさとか文字の美しさなど)で画像を探されましたか?
■酒井恵理さんへの質問
Q1●動画の和本を触る生徒さんの様子は興味深かったですが、どういった問いかけを生徒さんにされたのか、教えていただけますでしょうか。
Q2●今回ご紹介いただいた授業は、デザイン科(3年)と情報工学科(2年)ということですが、科目としてはどの科目で実施されたということでしょうか?「論理国語」?あるいは「古典探究」でしょうか?(1年次で「言語文化」について学習しているという話はあったと思うのですが、本実践についての情報を聞き逃してしまいました。申し訳ありません。)
Q3●教材として何を用意したのか?生徒たちの「わからない」「読めない」という感想に対して、どのように対応したのか(書かれた内容についてどのように解説したのか)を教えていただきたいです。情報工学科については、関連図書を用意したといことですが、なにを用意されたのかも含めて、お教えいただきたいです。
Q4●ご発表をありがとうございました。「分からないけど面白い」という高校生の関心が興味深く感じられたのですが、授業でどのように和本へアプローチさせたのか、教えて頂けますとありがたいです。
■熊澤美弓さんへの質問
Q1●高専古典教育研究会へ参加するためにはどうしたらよいですか?
Q2●ものづくりを作品理解につなげるという点はとても興味深かったです。少しで構いませんので、学生さんの古典作品への理解につながった具体例(作品やもの)があれば教えていただきたいです。よろしくお願いいたします。
Q3●生徒たちがものづくりのために古典を探究していくにあたり、さまざまな古典関連の資料にあたったり、ものづくりに向けた資料にあたったりする必要があると思うのですが、それに関連する支援は誰が、どのようになされたのでしょうか。学校図書館などの連携などもなされていたようでしたらお教えください。
Q4●古典を物作りにつなげる取り組みに興味を覚えました。八艘飛びなどをテーマにしたゲームの提出などもあったということでしたが、そうした物作りにはAIは利用されているのでしょうか。
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アンカー 1
アンカー 2
参加者の感想
◉第1部 クロストークの感想
●「ビジュアル おくのほそ道」楽しく拝読している中学校教員です。「飯塚」は芭蕉の「清貧」を中学生といっしょに考える材料になると感じました。「門出」の授業では、杉風は当時のすごいお金持ち、芭蕉は贅沢しようと思えばすっごく贅沢できる彼の支援を大いに受けていることを説明すると、「芭蕉が描く質素な暮らしは今でいえばメディアの中にあるような「ていねいな暮らし」「シンプルなライフスタイル」みたいなもので、しんどい・やれやれ、みたいなところも含めて読者にアピールしている」というような指摘が生徒から出てきます。そこはいつも議論になって、「やれやれ、ありゃりゃ」という自虐で笑いをねらっているんじゃないかという意見も出ます(両者ともに嫌悪感は込められてはいないと思います)。「飯塚」の内容を示して、中学生の考えをより引き出したいです。先生方のクロストークで学校現場の授業のアイデアが膨らみました、ありがとうございました。
●本日は貴重なお話を誠にありがとうございました。第1部のクロストーク、とくに「千歳の記念」の読みのくだりが非常に興味深かったです。先行研究による校訂本文や現代語訳がすでに世に出されているとそれこそが正解なのだと思い、ほかの可能性を自分の中から切り捨ててしまいがちなのですが、必ずしも絶対ではないのだと気づくことができました。今日得られたこの視点を、今後も持ち続けていたいと思います。改めて、本日はありがとうございました。
●『おくのほそ道』は今まで通読は何度もしているのですが、今日お話を伺った新しい視点で再度読み直してみたいと思います。新たな芭蕉の人間像が見てみたいです。
●東北福島に住んでおり、白河の関と甲子園優勝旗のお話しはとても興味深く、生徒達に話してあげたくなりました。
◉第2部の感想
■鶴口夏菜さん、酒井恵理さん、熊澤美弓さんへの感想
●国語とはいいながら、書道や創作など他分野とのコラボは面白く拝聴いたしました。ありがとうございました。
■酒井恵理さん、熊澤美弓さんへの感想
●公立高校の国語科教員をしていますので、工業生と高専生の実践例は、普通科ではない生徒への授業作りにおいて参考になりました。ありがとうございました。
■酒井恵理さんへの感想
●和本についてあえて説明をせず、「分からない」を「分かる」にするために生徒自身に試行錯誤させる試みが新しかったです。教員も新しいものに触れるきっかけになり、生徒の学びにもつながる非常に面白い実践だと感じました。
◉全登壇者への感想
●本日も視聴参加させていただき、ありがとうございました。
日頃から親しみのあるポプラ社の古典シリーズの紹介があり、図書購入の際の参考になり、ありがたかったです。
最近の古典の堅牢本は、アニメキャラの濃いイメージが強すぎて、本の中身もおそらく、小学3年生程度のものになってしまったのかなと思っていました。ですが、今回のご説明等から、過去の古典書籍のいいとこ取りをされているとのことなので、中学、高校生が調べ学習で活用できると思いました。購入します。
実践例の発表では、GIGA端末が主流になりつつある今、あえてカードとプリントでの学習の良さを感じられる実践で、今後の授業の参考にさせていただきたいと思いました。
年に2回の古典の大切さが身に染みる研修、次回も楽しみにしております。
事務局の皆様、貴重な機会をありがとうございました。
●大変学びの深い時間になりました。おもしろかったです!
ありがとうございました。
古典のおもしろさ!気づくきっかけが、今日のお話にもたくさんありました。
和本・くずし字は、(昔のものというように)切り離されたものではなく、現在につながっているのだと知ることは、古典を身近に感じ、興味を持ちやすいのではと思いました。
古典教材はもちろん、身近に残る石碑などにも目を向けて、子どもたちに紹介したいと思います。
●本日はありがとうございました。クロストークでは『おくのほそ道』とは、そうだったのか❗️と色々目から鱗でした。すぐ、本棚から『おくのほそ道』を取り出しました。読み直してみようと思います。
また、各授業の発表も大変参考になりました。可能な部分は試してみたいと思います。このような会があることは初めて知りましたが、本当に興味深く拝聴させていただきました。次回も楽しみにしております。
●もう13回でしたか。継続は簡単ではありません。スタッフのご苦労を思います。今回も素敵な企画です。そして、登壇者を育てる温かい目線も良かったです。コテキリの会はとても意味のある会だと思います。次回も楽しみにしております。
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