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第12回コテキリの会|報告
参加者の声

参加者の皆様からお寄せいただいた

質問・感想等をご紹介いたします。

同志社大学古典教材開発研究センター

第12回コテキリの会

「伝統文化和本の魅力――知らざあ言って聞かせやしょう!

■日時 2026年3月15日(日)13:30~16:30
■場所 Zoomによるオンライン

コテキリの会代表による総括

 3月15日(日)、第12回コテキリの会を無事開催することができました。当日は多数の皆様にご参加を賜りました。改めまして、基調講演、実践報告の登壇者、参加者の皆様に、スタッフ一同、感謝申し上げます。
 コテキリの会は2020年9月コロナ禍のなかで活動を開始しました。多くの学校や大学等で授業がオンラインに切り替わり、学びのコミュニティーが本来の機能を果たすことができなくなりました。そうしたなかでも学びを止めないための工夫をそれぞれの現場が模索し続け、この教育環境の難局を乗り越える工夫をしてきました。現場の教員同士もそうしたなかでいかにして新しい教育を求め、切り拓いていくべきなのかと、自問自答する問いかけの季節のまっただ中でした。
 それ故に、コテキリの会では、現場の教員が校種を越えて集まり、意見交換することを通して、学び合うコミュニティーを作ることができないかと模索してきました。古典教育のあり方について、もっと気楽に語り会うことができる横断型の学びの場を提供したいと強く思いました。
 今回は「伝統芸能と和本の魅力 知らざあ言って聞かせやしょう」と題して、現場ではあまり触れることのない伝統芸能へのアプローチを意識した基調講演と小・中・高のそれぞれの現場での実践報告3本を企画しました。

 基調講演では、山田和人がコロナ禍での大学教育における歌舞伎の魅力を伝える工夫について伝え、映像資料を活用することで、学生たちが従来の伝統芸能についての堅苦しいという「常識」から解放される場面を「義経千本桜」(四の切)と「一谷嫰軍記」(熊谷陣屋)を取り上げて報告した。古典の定番教材である「敦盛最期」の理解を深めていくために歌舞伎の熊谷陣屋を取り上げ、役者の演技を通して学びの回路をどう開くべきか、役者絵や浄瑠璃絵尽しなどの絵も参照しながら考えてみた。詳細はArchiveを参照ください。

 実践報告では「小・中・高、どこでも和本!」と題して、それぞれの学校での和本を活用した授業を紹介した。
 加藤直志氏(常葉大学)・加藤直子氏(常葉大学教育学部附属橘小学校)は「小学校5年生の古典単元における、くずし字・和本の活用例」と題して、加藤直志による出前授業の実践報告がなされ、同クラスの担当教員の教育効果についての検証が行われるという、いわば小大連携教育の新しい可能性を感じさせた。和本の体験授業後の鳥獣戯画と漫画を取り上げた小学校の担当授業でも古典を身近に感じるようになったことが示された。
 長澤京子氏(横浜市立新羽中学校学校司書)は「いといみじ、和本─中1・中2の授業支援─」と題して、学校司書の立場から、和本バンクの和本の体験学習をどのように、どこまで支援できるのか、具体的な実践を通して報告された。和本に触れる体験を通して古文への抵抗感が少なくなったこと、さらに社会科教諭も和本の体験学習に興味を持ったとの感想も紹介され、和本を通して学ぶことができる可能性を引き出した。
 酒瀬川なおみ氏(同志社中学校・高等学校)は「和本に触れ、考えてみよう!─評価を念頭において─」と題して、高校3年生の選択科目における古典教育で、モノとしての和本を教材としていかに活かすか、そこで得た知識を活用して和本の特徴をどれぐらい理解できたかを、評価の視点を意識した独自の試験のなかで考えさせた。とりわけ、共通問題で試験時間内に生徒同士で相談する時間を設けたのはユニークだった。
 実践報告は、校種を越えた和本に関する多様な取り組みが紹介され、デジタル時代だからこそ、実物、モノとしての和本に潜在する教育力を問い直す必要性を実感させられた。

​ 次回は9月開催の予定です。皆様と再会できることを楽しみにしています。

​2026年4月12日   山田 和人

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当日寄せられたご質問

◉第1部|基調講演への質問
WEBフォームからお寄せいただいた、山田和人氏への質問の抜粋です。質問者が特定できる記述などについては加工しております。当日の講演はこちからご視聴いただけます。

Q1●歌舞伎は映画国宝のヒット前から、伝統文化のなかでも「見て見よう」「残すべきだ」という意見が多い印象です。一方で文楽などは「残すべき伝統文化」とは思われていても、自分でみたいと思う方が他の伝統芸能と比較すると少ないというアンケート結果を見たことがあります。歌舞伎などを比較して、文楽の魅力を伝える工夫はないでしょうか。

Q2●今回はコロナ禍における授業のお話をお聞きしましたが、コロナ前の学生の反応・理解度と、コロナ禍の学生の反応・理解度には、何か違いはありましたか。

Q3●中高の授業で伝統芸能を扱う際に、伝統芸能を紹介してくれる手頃なテキストはありますか?   


Q4●貴重なお話ありがとうございました。質問ででた歌舞伎がわかりやすく記されている本について、先生がお答えされたのは「かぶき手帖」でしたでしょうか。ちょっと聞き取りにくく再度おしえていただきたいです。もし、「かぶき手帖」でしたらほかにもありますか?

◉第2部|実践報告者・登壇者への質問
WEBフォームからお寄せいただいた、登壇者への質問です。質問者が特定できる記述や登壇者の個人情報に関する記述などは加工しております。

■加藤直志さん・加藤直子さんへの質問
Q1●安倍川もちなど、地元に関するくずし字に生徒さんは興味を持つということでしたが、他にもなにか子どもたちが興味をもちそうなくずし字資料はあるでしょうか?                            

Q2●加藤直子先生に質問です。古典の入門事項として、仮名の成立(ひらがな・カタカナ)についても取り上げられましたか?「五十音図」や「いろはうた」にも触れられたかを知りたいです。


■加藤直志さん・加藤直子さん、酒瀬川なおみさんへの質問
Q1●加藤直志先生の「和本の複製を備品として各校で購入するのはどうか」というご提言は、大変学校現場に即した(実現が可能な)ご提言であると思います。一方で、コテキリの会が実施されている和本バンクなどのサービスは、「ホンモノ」の和本を児童・生徒が手にすることを大切にされていると捉えています。また、酒瀬川先生がご提示された目標である「モノに触れて初めて分かることがある」という言説においても、「モノ」は「ホンモノ」を意味するように感じました。和本の複製を導入することについて、今後どのような議論が必要なのでしょうか。ご意見をお伺いしたいです。

■長澤京子さんへの質問                      
Q1●くずし字を生成できる「そあん」を紹介されたということですが、どのように活用すると面白そうでしょうか。私自身も授業で使っているのですが、自分の名前をくずし字に変換したり、流行歌の歌詞を変換するという使い方が思い浮かびます。それ以外に小学生が喜びそうなモチーフはないでしょうか。

Q2●ご発表ありがとうございました。学校図書館からのご実践報告は大変貴重で、勉強になりました。特に、「情報センター」の機能として、和本の提供を位置づけている点が印象的でした。今までのコテキリの会で報告されたご実践は、(学校図書館での実践ではありませんが)「学習センター」的な機能が中心になっていたのではないか(学習材であったのではないか)と思います。そこで、長澤さまがなぜ和本の提供を「情報センター」としての機能として位置付けたのか、もう少し詳しくお聞きしたいです。


Q3●素敵な実践報告ありがとうございます。「べらぼう」の放送をきっかけに各美術館や博物館での和本の展示のお話がありましたが、授業支援にあたりなにかタイアップされたのでしょうか。

Q4●学校司書は非常勤的な勤務が多いと思うのですが、横浜市では、学校図書館司書は常駐なのですか?

■酒瀬川なおみさんへの質問
Q1●大変勉強になりました。テスト問題が和本によっては高度な問題であるように感じましたが、生徒さんが的確に回答していて驚きました。和本が異なると問題の難易度が異なるように思いますが、どのような点を意識して和本を選ばれましたか?

■全登壇者への質問
 Q1●本日は貴重なお話ありがとうございました。学校教育において古典をどう扱って教えていっているのか勉強になりました。私は教える側でなく学びたい側なのですが、かなり前に教育課程は終了しており、大学に行き学びなおすというのは現実的ではないなあと思っています。大人になってから個人で学ぶにはどのような手段がありますでしょうか。ちなみに歌舞伎に興味があり、鑑賞前に歌舞伎オンステージなどを読んだり、ということはしたことがあります。                 


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参加者の感想

◉第1部 基調講演の感想

●歌舞伎の演目の内容をこれほど詳しく聞く機会がなく、とても興味深く拝聴できました。今までの歌舞伎観賞がもったいなかったなぁと反省しました。

●歌舞伎というわけではありませんが、最近は高校三年生の最後の授業単元に、西鶴の「忍び扇の長歌」を扱っています。ただこれまでは教科書の文章を読むだけだったので、今後、視聴覚資料を扱うことの有用性を大きく感じました。

●大変高度で誠意と熱意のこもった講義内容に感心いたしました。また、大学で「日本芸能史」の講義をした私にとりまして(今年度で退職)、動画公開の情報一覧は、大変有り難かったです。大学での「歌舞伎」の授業であれば、全く素晴らしいと思うのですが、もし高校以下を対象とすると、歌舞伎にすぐに入るのは、かなり難しいのではないかと思いました。つまり歌舞伎には独特な決まり事などがあるからです。むしろ三人遣いの文楽の方が、学生は感心して見ていました。                         
               


◉第2部も含めた感想

■加藤直志さん・加藤直子さんへの感想
●和本バンクを利用して、授業を行いたいと考えています。貸していただいた本を生徒に触ってほしいと考えていますが、大切に扱ってほしいことをどのような言葉で声掛けをされていますか?
                   

■酒瀬川なおみさんへの感想
●大変興味深く拝聴致しました。特に「評価」を意識して授業を展開したという具体的なご報告は、今後中学・高等学校で授業をされる先生方にとっても、良い刺激になると思います。試験問題が秀逸で、大変面白い問題ですが、教員側の知識も問われますね。


◉全登壇者への感想

●今回のコテキリの会も大変勉強になりました。ありがとうございました。今回は、全体を通してメディアに関わる議論が行われたのではないかと思いました。山田先生の基調講演では、テクストを読んでから歌舞伎・浄瑠璃を視聴をするという複数のメディアを用いるご提案でした。実践報告では、長澤先生は、和本の提供を学校図書館における「情報センター」としての機能に位置づけられていました。「こういう情報もあるよ」ということを伝えることを念頭に、和本も一つのメディアとして提供することを意図した「情報センター」という位置づけは、とても興味深いものでした。また、酒瀬川先生は、単元の導入として現代のメディアの特徴の違いと理由を考えさせ、その違いが江戸時代にも共通しているものであることを提示されていました。メディア的な視点から和本を捉えることで、新たな発見や新たな実践に結び付くのだと学びました。改めて本日はありがとうございました。

●以前は、小学校では、寿限無や春暁、平家冒頭の暗唱もされている先生方がいらっしゃいました。今は、英語導入により、やっていないとか。

●今回も大変勉強させていただきました。実践報告では、様々な立場の先生方の実践や対象学生たちのお話など聞かせていただき、大変参考になりました。貴重なお話ありがとうございました。

●毎回、コテキリの会の提案によって古典についての学びが広範囲であること、かつ研究が深く、明日からの授業に役立つことばかりで、会参加のお声かけいただき、感謝申しあげます。伝統芸能文化については、先生方のおっしゃるとおり、音楽科に学習内容をお任せで、国語科としては、読解、言語表現活動に力を入れてしまう傾向があると思います。反省しました。また、本日、酒瀬川先生のレベルの高い授業に驚きました。大学での専門用語ばかりの授業でも、ついていけるとは、やはり、私立の付属校は違うな、、、と思いました。ルーブリックをぜひ教えてほしいです。また、私は、国語科兼図書館司書教諭でもあり、今年度、予算が極小の学校に異動し、レプリカといえども購入は難しいので、近隣小学校と連携して借りれないか、工夫してみたいと思いました。くずし字の実践をこれからも教授いただけると幸いです。登壇者、事務局の皆様、ありがとうございました。

●講演から実践発表まで、とても興味深く視聴しました。和本や崩し字が古典を学ぶ入口として生徒たちに得難い経験となることを実感しました。以前勤めてゐた都立高校では、芸術鑑賞教室として、三年間で①歌舞伎②人形浄瑠璃③能・狂言を体験させてゐました。その事前学習としても有効だなと感じました。自分自身、和本や崩し字について知らないことばかりなので、これからも少しづつでも学んで行けたらと思ひました。ありがたうございました。

●古典芸能や和本の教育の場での活用方法について様々な実践の様子を伺うことができ、非常に興味深かった。また、こういったものを取り扱う意義として、歌舞伎そのもの、和本そのものの知識を得るだけでなく、歌舞伎と文楽の比較や写本・版本の存在などによって、教科書に掲載されている古典作品が完成された唯一のものではなく、長い年月の中で変化しながら伝わってきたものだということを自然に理解できるというのも重要な点であると感じた。

​●貴重なお話ありがとうございました。先生方のご発表から、やってみたい、できるかもしれないというヒントを沢山いただきました。そして私自身、歌舞伎についてもっと勉強して子供たちに何らかの形で提示できたらと来年度の目標になりました。和本の活用を今一度新しい目で考えてみたいと思います。


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